「伊藤若冲 ~画家戦略における経営者的判断~」
大津市歴史博物館 学芸員 横谷 賢一郎様
錦市場の顔である画家「伊藤若冲」についてご講演いただきました。
青物問屋の店主であった伊藤若冲は当初から画家を目指した職業絵師ではなかったが、江戸時代の画家の代表で現在はフランスで展覧会が開催されるなど海外でも高い評価を得ている。23歳で父の死去に伴い4代目桝源を襲名、「若冲」の号は禅僧として与えられた「居士号」とされている。
若冲は37歳時の作品が確認されているが、当時は10代から画家としてスタートすることが多い中、晩年から描き始め、49歳で相国寺に仏具として奉納した「動植綵絵」等により、当時の文化人ランキングで京都第2位の評価を受けるまでになった。
画道戦略は本来職業絵師が習得する複雑な技法を捨て、限られたテクニックだけを磨いて画家人生の短さをカバーし、シンプルな技法を丁寧に重ねることで精度が高く、汎用性のある作品を生み出している。バリエーションの多い職業画家には及ばないが、獣毛表現など超絶技巧を駆使する並外れたアマチュア画家であった。
画家としては後発で経験が浅い中、「同じ土俵で戦わず、戦略を絞って自己資源を投入する」まさに「選択と集中」は経営に通じるものがあり、大変参考になるスピーチでした。横谷様、本日は貴重なお話を有難うございました。